看板製作会社や店舗内装業者向けに、インクジェットメディアやラミネートフィルムを販売するバンドーエラストマー株式会社様(以下、バンドーエラストマー)。少数精鋭の体制で安定した品質の商品を届ける同社にとって、夏場に発生するラミネートフィルムの変形に伴うクレーム対応は、数年にわたり向き合ってきた課題でした。
同社は、工場での製品保管庫および今回の委託倉庫での空調設備による温度管理だけでなく、「工場から出荷まで、責任を持って品質を管理したい」という考えのもと、出荷環境の見直しに取り組みました。その一環として相談したのが、間仕切り製品を扱う株式会社イノベックス(以下イノベックス)です。
イノベックスは、PETセパレーター仕様のラミネートフィルムをロール状のままで保管する場合、熱や直射日光の影響を受けやすいこと、また出荷プラットフォームでは作業性や開閉のしやすさも求められることを踏まえ、複数の選択肢を提示。現場条件やコストに最も適した対策として最終的に提案したのが、シートシャッター「門番」でした。
バンドーエラストマーは、委託倉庫の入出荷プラットフォームへの直射日光や外気の影響を抑えるため、シートシャッター「門番」を導入。これまでの保管温度の管理に加え、入庫・出庫時の運用徹底、梱包箱への注意表示など複数の対策を組み合わせることで、夏場の品質管理体制を強化しました。
その結果、年間20件以上発生していたクレームは、昨年1件まで減少。今回は、イノベックスのシートシャッター「門番」導入を含む出荷環境改善の背景から、その後の変化までを、バンドーエラストマー営業部 部長の立道様と、営業担当のイノベックス 福島、施工管理者の山田にインタビューを行いました。

目次
安定した品質を届ける。バンドーエラストマーのものづくり
ーまず、バンドーエラストマー様の事業内容について教えてください。
立道様
当社では、看板製作会社様や店舗内装を手がけるお客様に向けて、インクジェットメディアやラミネートフィルムを卸販売しています。販売については、各地域の販売代理店様を通じて、全国のお客様に届けている形です。私自身は営業部を統括する立場として、こうした製品の企画・販売やお客様対応を担当しています。
当社は、親会社であるバンドー化学株式会社が上場企業である一方、バンドーエラストマーとしては少数精鋭の体制で事業を行っています。そのため、最も大切にしているのは、いかにトラブルの起きにくい商品を企画・製造し、安定して流通させるかという点です。
人員を多くかけて対応するのではなく、そもそも不具合が起こりにくい商品を届ける。そうすることで、お客様にも安心して使っていただけますし、販売代理店様との信頼関係も築きやすくなります。品質の安定性は、当社にとって非常に重要なテーマです。
立道様/バンドーエラストマー株式会社 営業部 部長
ー現在、特に注力されている領域はありますか?
立道様
もともと当社が扱ってきた屋外向けのインクジェットメディアは、今後さらに市場が変化していくと見ています。たとえば、景観条例や建築基準の厳格化、台風による看板落下リスクへの意識の高まりなどもあり、屋外の大きな看板は少しずつ減っていくのではないかと考えています。
また、最近ではLEDを使ったサインやデジタルサイネージも増えており、看板のあり方そのものが変わってきています。そのため、当社では5年ほど前から、商業施設などの内装向けの製品にも力を入れてきました。日本特有の法律や基準に適合した商品を企画し、内装分野で広く使っていただけるような展開を進めています。
もうひとつ注力しているのが、暑さへの対応です。近年の夏は、以前と比べて明らかに気温が高くなっています。これまで経験してこなかったような不具合が出ることもあり、近年の暑さに対応するため、耐熱性の高い新しい配合の製品づくりにも注力しています。
海外の安価な製品と比べると圧倒的に高額な国産製品だからこそ、品質に不安のある商品は出せません。安定して使える商品を届けることが、お客様の信頼につながると考えています。

写真左からイノベックス 福島、山田
夏場に繰り返されていた、ラミネートフィルムの変形クレーム
ー今回、シートシャッター「門番」の導入を検討された背景について教えてください。
立道様
年々、夏場の気温が上昇しており、これまで経験してこなかったような不具合が出るようになってきました。当社が扱っているインクジェットメディアやラミネートフィルムも、未開梱の状態では熱の影響を受けやすい製品です。そのため、ここ数年は暑さへの対応が、製品づくりにおいても、品質管理においても重要なテーマになっています。
特に課題となっていたのが、夏場に発生していたラミネートフィルムのいわゆる艶転写や巻締り(※保管時の温度変化によってフィルムが膨張・収縮を繰り返すことで、内層側が強く圧縮されてシワや変形が発生する状態)といった変形です。毎年、ゴールデンウィーク明けごろから夏の終わりにかけて、温度や直射日光の影響によると考えられるクレームが発生していました。
一方で、製品の変形がどの段階で起きているのかを特定するのは難しいんです。工場からの出荷後なのか、当社が委託している倉庫での入出庫の取扱い時なのか、または当社委託倉庫から運送会社様に引き渡した後なのか。バンドー化学の工場の保管庫と当社委託倉庫では空調による温度管理はしているものの、製品がお客様のもとに届くまでにはいくつもの段階があるため、発生箇所を明確に切り分けるのは難しい状況でした。
それでも、お客様から不具合のご連絡をいただいた場合には、当社として対応しなければなりません。毎年のように発生するクレームに対して、どこかで対策を講じる必要があると考えていました。
ー具体的には、どのような不具合が発生していたのでしょうか?
立道様
主なクレームは2つあります。ひとつは、開封したときにシワが入っているというものです。ラミネートフィルムはロール状に巻かれた製品のため、熱の影響を受けると外側から巻締り変形が進み、ひし形のようなシワが出ることがあります。もうひとつは、表面の艶感が変わってしまうことです。本来マット調であるはずの表面が、部分的に離型PETフィルム(※基材となるPETに対して剥離性を付与したフィルム)の艶が転写し、グロスのように見えてしまうことがありました。熱によってフィルムが収縮し、ロールの中で圧がかかることで、こうした変形や質感の変化が起きると考えています。
不具合が出た場合は、返品や代替品の手配が必要になります。1件あたり数本で済むこともありますが、多いときには100本単位、過去には200本ほどの対応が必要になったこともありました。件数としては年間20件以上発生していましたが、1件のクレームで複数本の製品が対象になるため、本数単位で見ると非常に大きな負担になります。

工場から出荷までの品質を守る。出荷環境の見直し
ー発生箇所を特定しきれない中で、どのように対策を進めたのでしょうか?
立道様
どこで発生しているかを特定しきれないからといって、そのままにしておくわけにはいきません。少なくとも、製造者として、バンドー化学の工場から、当社の保管倉庫、そして出荷までの環境については、責任を持って整えたいと考えました。
そこで、まずは自分たちで管理できる範囲を一つひとつ見直すことにしました。工場での保管環境、倉庫での受け入れ、出荷時の置き方、運送会社様への引き渡しまで、どこにリスクがあるのかを確認していきました。
工場で検証したところ、40℃の環境では10分ほどでも変形が起きるという結果が出ています。近年の夏は、気温が40℃近くまで上がることも珍しくありませんし、直射日光に晒されると瞬く間に40℃を超えてしまいます。
ー出荷環境の見直しでは、どのような対策を進めたのでしょうか?
立道様
特に改善が必要だと考えたのが、出荷プラットフォームの環境です。運送会社様が荷物を引き取りに来る午後3時から4時ごろは、ちょうど西日が強く差し込む時間帯です。そのため、出荷のために製品を一時的に置く場所に強い日差しが当たる状況は、特に熱の影響を受けやすいラミネートフィルムにとって大きなリスクになります。
その一環として導入したのが、イノベックスのシートシャッター「門番」です。出荷プラットフォームは、直射日光や外気の影響を受けやすい場所でした。そこにシートシャッター「門番」を設置することで、外からの日差しを抑え、倉庫内の冷気も外に逃げずある程度プラットフォーム側に留まってくれるようになります。
導入したシートシャッター(「門番」製造元:小松電機産業株式会社)
今回の相談にあたっては、以前からの取引を通じて、イノベックスの品質や対応力に信頼があったことも大きかったといいます。単に製品を提案するのではなく、出荷プラットフォームの環境や作業時の使いやすさを踏まえ、のれんタイプやカーテンなど複数の選択肢を示したうえで、現場に合う方法を検討してくれたことも、導入を進めるうえでの安心材料になりました。
ただし、今回の改善はシートシャッターの導入だけで実現したものではありません。工場側でも温度管理を徹底して保管しており、それだけで安心せず、出荷時のトラックへの積み込みを含め、あらゆる工程を見直しました。
また、今年からは梱包箱に「直射日光厳禁」といった注意表示も入れています。販売代理店様、運送会社様、そして実際に製品を使われるお客様にも直射日光や高温に注意していただく。そこまで含めて、品質を守るための取り組みとして進めています。
直射日光への注意喚起を追加したバンドーエラストマーの梱包箱
のれん、カーテン、シートシャッター。現場に最適な対策を検討
ー出荷環境の見直しを進める中で、イノベックスにはどのような経緯で相談されたのでしょうか?
立道様
イノベックスの福島さんとは、20年以上のお付き合いがあります。私自身、これまでメーカーで働いてきたこともあり、「どこで、誰が、どのようにつくっているのか」が分かる会社の製品でないと、安心してお客様に提案できないという考えがあります。
その点、イノベックスは日本のメーカーとして、品質面でも対応面でも信頼できる会社だと感じていました。何かあったときに、きちんと対応してもらえる安心感があります。当社の業界では海外製品も多く流通していますが、不具合が起きても十分な対応を受けられないケースがあります。品質だけでなく、トラブル時の対応まで含めて信頼できる会社かどうかを、重視しています。
当社で扱っている製品は、バンドー化学で製造した製品を中心に、イノベックスの製品を一部取り扱っています。今回の用途とは少し違いますが、親会社であるバンドー化学の工場にも、イノベックスの間仕切りが採用されています。そうした取引実績もあり、出荷環境の見直しを考えたときに、まず相談したいと思ったのがイノベックスでした。
山田
バンドーエラストマー様が扱うラミネートフィルムは、当社製品と性質が近い部分があります。もちろん、用途や仕様にはバンドーエラストマー様ならではの特徴がありますが、熱や直射日光の影響によって、同様の不具合が起こり得ることは理解できました。
当社でも、工場内で遮熱や風よけの用途としてシートシャッター「門番」を使っている実績が多数あります。直射日光や外気の影響を抑えるという用途については、これまでの経験を踏まえてご提案できると考えていました。
ー具体的には、どのような選択肢を検討されたのでしょうか?
山田
最初からシートシャッター「門番」一択で進めたわけではありません。できるだけコストを抑えたほうがよいという考えもありましたので、まずはのれんタイプのシートや、開閉式のカーテンといった選択肢をご提案しました。
ただ、現場には風の影響もあります。実際に別の倉庫の入口にのれんタイプのシートが吊ってあるのをご覧になり、「これだと風になびいてしまい、十分な効果が出にくいのではないか」という話になりました。
そのため、一度は開閉式のカーテンを中心に検討しましたが、手動で開け閉めする必要があるため、運用の手間や密閉性の面では課題が残ります。そこで、最終的にシートシャッター「門番」という選択肢になりました。
他の選択肢に比べればコストは上がります。
一方で、自動でスピーディーに開閉でき、密閉性も高められるという利点があります。現場で無理なく運用しながら、出荷環境を整えるという目的に対しては、最も適していると考えました。
立道様
こちらとしても、コストはできる限り抑えたい一方で、品質管理の向上と現場での使いやすさは欠かせないと考えていました。直射日光や外気の影響を抑えながら、実際に作業される方が無理なく開け閉めできる点を踏まえ、シートシャッター「門番」を採用しました。
貸し倉庫でもスムーズに設置。オーナー確認から施工まで
ー貸し倉庫への設置にあたって、どのような調整が必要でしたか?
立道様
今回シートシャッター「門番」を設置した倉庫は、当社が所有している建物ではなく、当社製品の保管・入出庫・在庫管理などトータルにお任せしている委託倉庫です。そのため、設備を設置するにあたっては、オーナー様の了承をいただく必要がありました。
今回の目的は、倉庫を大きく改修することではなく、出荷プラットフォームの環境を整え、製品を守ることです。その意図をお伝えしたところ、スムーズに了承をいただくことができました。
ー施工面では、どのような点を確認しながら進められたのでしょうか?
山田
現場としては、非常に難しい施工条件だったというより、必要な確認を一つひとつ進めていく案件でした。
ただ、出荷プラットフォームの床がコンクリート打ち放しの状態だったため、シートシャッター「門番」を支える支柱をどのように立てるかは、施工業者と確認しながら進めました。また、開口部の幅も広かったため、シートシャッター「門番」で対応できるか、現地で採寸を行ったうえで仕様を詰めています。色や視認性、安全性も含めて現場に合う仕様を確認しながら、最終的な内容を決めていきました。
材料の手配などを含め、全体では1ヶ月半ほどの期間を見て進め、施工自体は1日で完了しました。夏場のクレームが出始める前、ゴールデンウィーク前には設置したいというご希望がありましたので、そこから逆算してスケジュールを組んでいます。
立道様
現地確認や工法の検討、施工の進行については、イノベックスと施工業者にお任せしました。必要な時期までに問題なく環境を整えることができ、助かりました。
シートシャッター(「門番」製造元:小松電機産業株式会社)
20件以上のクレームが1件に。複合対策で改善した品質管理
ーシートシャッター「門番」導入を含む出荷環境の見直しによって、クレームはどのように変化しましたか?
立道様
夏場に毎年発生していた20件以上のクレームは、昨年は1件にまで減少しました。本数ベースで見ても、以前と比べて10分の1以下になっていると思います。
工場から当社委託倉庫、出荷時の運用、関係者への注意喚起まで、できることを積み重ねてきた結果です。シートシャッター「門番」は、出荷プラットフォームの環境を整えるうえで重要な役割を果たしていると感じています。
ー品質管理以外にも、導入後に変化はありましたか?
立道様
以前は、倉庫の担当者に「直射日光に当てないようにしてほしい」「出荷後はすぐに片付けてほしい」とお願いする必要がありました。ただ、現場の方も限られた環境や人員の中で作業されています。こちらから注意をお願いするばかりではなく、当社としても作業しやすい環境を整える必要があると感じていました。
シートシャッター「門番」を設置してからは、外からの日差しを遮りやすくなり、冷気も出荷プラットフォーム側に留まるようになりました。結果として、製品を守りやすくなっただけでなく、倉庫で働く方にとっても作業しやすい環境になったと思います。
品質管理を徹底するうえでも、現場に負担をかけすぎない仕組みをつくれたことは、大きな意味があったと感じています。
山田
今回のように、直射日光や外気の影響を抑えたい、外からのほこりを防ぎたいといったご相談は、倉庫や工場の現場で多くあります。
現場ごとに課題や条件は異なりますが、今回、製品の品質管理と作業環境の両面で良い変化があったと伺えたことは、私たちにとっても大変ありがたいことです。イノベックスとしても、現場の状況に合わせたご提案ができたのではないかと感じています。
品質管理や作業環境に課題を感じる現場に、イノベックスの間仕切り
ーイノベックスの製品は、どのような会社におすすめできると思いますか?
立道様
今回のように、倉庫や出荷場所の環境によって製品品質に影響が出る可能性がある会社には、ひとつの選択肢になると思います。
特に、熱や直射日光の影響を受けやすい製品を扱っている会社や、倉庫に空調が十分に効かない環境で保管・出荷を行っている会社では、同じような課題があるのではないでしょうか。当社のお客様や販売店様の中にも、倉庫に空調がないところは少なくありません。
当社にとって大切なのは、安心して扱える製品であること、そして何かあったときにきちんと相談できることです。イノベックスは、日本のメーカーとして品質面でも対応面でも信頼しています。今後も、製品の品質を守るために必要なことがあれば、引き続き相談していきたいですね。
写真左から、立道様、福島(背景には導入した自動開閉式シャッターシステム「門番」製造元:小松電機産業株式会社)


